闇の河(オーストラリア現代文学傑作選)を呼んだ感想②
オーストラリアに対する理解を少しでも深めたいなと思い、
読み始めました。
今日は感想の続きです。
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第二章 シドニー
ロンドンでの壮絶な貧しさとの戦い、そして絞首刑から逃れて、
主人公ソーンヒルがたどり着いたシドニーでの生活が描かれています。
当然本には絵はなく、文字だけで表現されているのですが、
18世紀当時のロンドンの鬱屈した雰囲気から、
日差し照り付けるシドニーの様子が読んでいてよく伝わりました。
シドニー開拓時のなにもないところで、楽しみはラム酒が中心だったそうです。
それでも真面目に働けば、ロンドンの時よりもずっといい暮らしができる環境は
流刑されたほうが全然いいじゃんと思ってしまいました。
でも意外だったのは、主人公ソーンヒルとその妻サルは、
シドニーにそこまで感動が湧いていない様子でした。
むしろ故郷ロンドンへいつか戻りたいと思う願望が共通にあり、
それまでのあいだ、妻はシドニーの開拓村でできるだけ安定して暮らしたいという思い、
夫はシドニーから少し離れたところで、自分の土地を所有して暮らしたい!
という思いそれぞれ夫婦で異なる思いが生じているのでした。
読んでいて、シドニーの開拓時の様子が想像することができました。
社会がまだ未発達の中で、ラム酒が生活の中心となっていたり、
流刑された人たちにとっては、ロンドンのときよりも生活がラクになって、
性格もおおらかになっているのは、いまのオージーの文化にも通じるのかなぁ
などと思いました。
闇の河 THE SECRET RIVER (オーストラリア現代文学傑作選第4巻)
- 作者: ケイト・グレンヴィル,一谷智子
- 出版社/メーカー: 現代企画室
- 発売日: 2016/01/21
- メディア: 単行本
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